一人でいきたくない。

来週のはじめ、泊りがけでまた就職試験。
サトがずっとすんでいた街で、
今私たちが住んでいる街から4時間以上かかる。

サトと私がつきあいたてのころ、
初めていった旅行先。
私はサトと旅行・・？ってピンとこなくて、
あんまり最初は乗り気じゃなかったんだけど、
どうしても行きたいとサトがだだこねた。


「やべぇ。おれ、こんな嬉しいなんて！顔がにやける」



やっこを「彼女」としてその街につれていくことが
めちゃくちゃに嬉しかったらしい。

私はそのコロまだ別に元彼という別の人が心の中にいて、
宝物だった婚約指輪をはずした直後だったから。

サトの笑顔みるたびに、
胸がつぶれそうだった。
だって、かわいくて。
恋ってこういう気持ちかぁって。

昔彼女も一緒に歩いた街。
そこにやっこがいることを喜ぶなんてって、
少し優越感というか・・
この人、ちゃんと好きになってくれたんだっていう
安心感を覚えたのもこの旅行の時。

その後いっきに崩れたけど。



「やべぇ！嬉しいよ！楽しいよ！」


サトの、
笑いたくないのに笑っちゃってる、あの笑顔とやっこ。



そんな瞬間、

もう、

二度と、

来ない。



　なきそー・・。


＊


一人でいくの、寂しいな。
サトについてきてほしい、とかじゃなくて、
サトがやっこのこと愛してたころの思い出がいっきにきそうで、

今から少し、

泣く準備と、

泣かない準備。


サトのお友達にも会う。

サトの彼女を知っている友達にも会う。

もう、ふられたこと、みんな知ってる。

そうとう痛いコだと思われるんだろうな。

苦しいけれど、
私は一度ふられたことちゃんと受け止めたんだから、
恥ずかしさは捨てたのだから、
堂々と自分のこと頑張らなくちゃだ。


私のこんな気持ちしらないで、
サトは現地のお土産を所望。



サトのばか。

それ買いに、多分私は現地を走り回るはず。


＊

今夜は、「できたら会おう？」っていう
ちょっとだけ約束した日。
もうすぐ17時。
まだ連絡はこない。

これから私は仕事だけど、
仕事のあと電話してみても大丈夫かな。
疲れてて冷たくされたらどうしよう・・。


「火曜日は忙しいの知ってるから、無理しないでね。
　あえなくても我慢するよ！」


ちょっと強がって
うそのメールかいた。



ほんとは


我慢させないで。


一緒にファミコンやろうよー。（＞＜）