はなび

サトはフットサルに行く前にバイト先により
ついでに友達につかまって飲んできちゃったらしい。

2時ごろかえってきた。
「やっこちゃんも連れてけばよかった」
っていう一言は嬉しかったし。

それから一緒にファミコンとかしたけれど
眠たすぎて・・。

次の日もごろごろ。
どうしても一緒にいたくて、
いたずらしたらくっついてきて幸せだった。

この日は夜は花火に行く予定だったのに、
雨がざーざーふっていて
かなりしょげていた。



「雨でもサトとお出掛けできるの楽しみにしてたのに」



ぽんぽん、と頭をたたかれて、
ああ、これは、雨だから行く気ないのだろうなぁと思った。

あんまり花火、花火とわめくやっこに
サトが冴えたひとこと。

「火花なら毎日ちってるじゃないか」

サトとやっことの間に・・。

＊

隣まちに友達カップルと合流して、
やっぱりお祭りにいった。

サトはだいぶ私から離れてあるく。
男同士話せよ！
って思うけれど、
サトはその彼女さんとばっかりしゃべっていて、
おいって思った。


花火は・・

ふたりっきりじゃないから、

くっついてももらえなかった。

ひとごみのなかでも。

満員電車の中でも。



友達カップルはひっついたり、
彼からぎゅって抱きしめられながら花火みたり、
寒かったから手をつないでいたり、


「今年もサトと花火みれてよかった」


なんていいながらなみだ目になった。



やっこから、手をつないだ。
いつでも離れちゃうくらい、淡く。



サトは周りを警戒しているみたいだし
(他に知り合いがいないかどうか）
なんかほんとに・・。

・・・。



＊


帰り、私だけ電車、手前の駅でおりなくちゃいけなくて、
でも今日のこんな思いをサトとの思い出の終わりにしたくなくて
どうしてもサトの家に行きたかった私は、
電車おりたふりして別の車両に乗り込む、
というわざ（？）で、
皆にばれずサトの家にいくことに成功した。


「やっこちゃん、いま、どこ？」

電話くれたのは嬉しかったし、
無理やり、
「今日は花火中本当は手をつなぎたかったですか？」
っていう質問にうなずかせた。



無理やりだけど！！！



やっぱり

去年より確実に、

やっこのこと、好きじゃないんだなぁ。




二人っきりの帰り道、
サトの家までの道のりだけ、手をつないだ。


「やっこちゃんの手、冷たいね。びっくりした。大丈夫？」


そりゃあそうだよ、

放っておかれてたから、

凍りそうだったよ。



夜中はいつもよりひっついて寝ていいっていうので、
一生懸命ぴたぴたくっついて寝た。